「楽農のススメ」講座報告;農業の楽しさを知りました!

5月23日の発見塾の「楽農のススメ」は、その名の通り「楽しい」講座でした。節々にユーモアがあって、野菜・果樹づくりのカンどころを実物などで示しながら、さりげなく農業の蘊奥(うんのう;奥深い本質)にも導かれる充実した講座でした。

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 熱心に聞き耳を立てる受講されたみなさん

講師は、長らく八尾で農業技術の向上、農業構造の改善に、行政の立場から取り組まれてきた澤井正治さん。「定年後に備えて周到な準備をすすめる」との持論を実践され、より自由な立場で、晴れの日は田畑を耕し、雨が降れば知識を学ぶの”晴耕雨読”──ご本人は、もっぱらインターネットを駆使して情報を集められているので、パソコン=電脳をもじって”晴耕雨電”と称されていますが──、「楽農」を追求されてきました。

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 電脳を中国の字で表現する澤井さん。日本の野菜のルーツ、中国にも詳しい

それだけに、76歳とは思えないほどハツラツとした澤井さんの、人間と農業への愛情たっぷりのお話に、30名近い参加者のみなさんは、知識欲を刺激され、自然と人との関わりの深さに思わず耳を傾け、ついには、兼業で農業をやっている人も、家庭菜園をはじめたばかりの人も、農業がこれからの時代のビジネスのキーになると先見力を発揮している若者も、みなさん改めて「楽しい農業」に取り組んでみたいと、決意を促されたように感じられました。

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 昨年とれた大きなリンゴの表皮には文字が刻印されている

実は、講座のあった当日は、旧暦では4月29日の晦日(みそか)にあたっていたそうです。旧暦が日本の季節の移り変わりをいかに活写していたか、四季だけではなく二十四節気・七十二候と、四季の巡りを農業や暮らしの節目として、自然に寄り添い・活かしてきた日本人の営(いとな)みから、話ははじまりました。

当日の頃は、二十四節気でいえば「小満(しょうまん)」。草木がぐんぐん伸びていく時季です。でもよく観察すると、季節は七十二候のリズムで刻まれていて、小満の時季の初候は「蚕起食桑」(かいこおきてくわはむ;蚕が桑を食べはじめる)、中候は「紅花栄」(べにばなさかう;紅花が盛んに咲く)、末候は「麦秋至」(むぎのときいたる;麦が穂を実らせる)と、細かな移ろいを昔の人は感受していました。

現代人はそのような自然の律動を五感で感受する余裕も、昔の日本人にはあった体細胞一つひとつの感受センサーもなくしてしまっています。

が、農を五感で楽しむ澤井さんのような人は、自然とともに生きてきた日本人の繊細な感性を、旧暦を改めて見直すことで、「温故知新」=日々新しい発見をされているのではないでしょうか。人が農を通じて、自然を観察・働きかけることで、土や光と風と水と人との、それこそ総合作用の営みのなかで、生命が細やかで・たくましい律動を打っていることを、感得することができるのではないでしょうか。

前述の七十二候でいえば、今の時分には、八尾でも「麦秋」があちこちの田畑で見られます。昔は”蚕都”と言われたのに、蚕が桑を食べはじめるシーンは、もうここでも見ることはできなくなってしまいましたが。

一方で、澤井さんは、世界の農業で”パンデミック”(インフルエンザなどの感染爆発)のように広がっているミツバチの「集団死」(蜂群崩壊症候群)にも触れながら、現在の農が、いかにグローバルな関わりを持っているかを指摘されていました。前述した「温故知新」には、いま世界で何が起きているかを知ることなしに、新しい知見や創造は生まれないという意味も含まれています。古きをたずね、今を知らなければ、新しい道は見つからないのです。

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 参加者へのお土産の一つ(食用菊「もってのほか」)

「野菜づくりのカンどころ」や「医食同源の食材=野菜、そのおいしい食べ方」など、基本のハウツーから奥深い蘊奥まで、学ぶことはいっぱいでした。

最後に、澤井さんは、カール・ユング(深層心理の研究で有名な心理学者)の「人生の幸福の5つの条件」を挙げて、5つ目の「朝起きたとき、やらねばならぬ仕事がある」という、最も大事な幸福について言及されました。

定年退職した後でも、実は大きな生きる喜び=充実した幸福感を味わえる「仕事」があって、それが農業(家庭菜園でもいいのです)だと、澤井さんは主張されます。

仕事がなくて派遣労働者にならざるをえない若者たち(この問題はとても重要で、本質的には日本の労働政策そのものを根本から変革する必要があるのですが、それはさておき)にも、伝えたいメッセージのように思えました。

「野菜や果物づくりのカンどころ」など、具体的なノウハウも満載だったのですが、それはまた別の機会に。澤井さん自身に原稿を書いてもらうか、大好評だったこの講座の続編を企画するか、なにより澤井さんの農園にて実地に体験学習するか(連絡いただければご紹介できます)、いずれかの形でフォローしたい・していただきたいと思います。

ほんとうの楽しみは、自分で学んで行くことのなかにしかないので。<森人>

update: 2009/05/25 ,

 

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